kokoro-zの日記

心のうちを曝け出す。

【書評】アサーティブ・コミュニケーション 

アサーティブ・コミュニケーション 戸田久美【著】

 

要約

 

①アサーティブ・コミュニケーション=お互いを大切にした自己表現であり、相手との向き合い方が重要となる。

 

②攻撃・非主張・アサーティブの3つの表現があり、どの表現をどの場面で使用しているか自己理解する。

 

③アサーティブには相手と対等な気持ちで向き合うことが必要で、自分と相手、相互を信頼し尊重することが土台となる。

 

④ゴールは丸く納める・相手をコントロールすることではなく、自分の伝えたいことをアサーティブ(相互を信頼・尊重した自己主張)に伝えることができたということ。

 

⑤アンコンシャンスバイアス(無意識の思い込み)に自ら気づいて記録する、相手の意向を確認してすり合わせることにより、行き違いを減らしていく。

 

⑥「言う」「言わない」の選択をする際、後悔するかしないかの判断を自己責任の元(他人・環境のせいにせず)行なうこと。

 

⑦なぜ、なんのためにを意識し書き出すことで「1番伝えたいこと」を可視化してから模擬練習と実践を繰り返す。

 

⑧伝える内容は事実と主観に分け、時間軸を明確に伝えることにより表現の具体性を持たせる。

 

⑨攻撃的な相手→一旦受け止めて事実と主観を切り分けて端的に伝える。

 非主張的な相手→語調や声の大きさで威圧を与えないようゆっくりと伝える。

 受け身的攻撃→人のせいにする主張に惑わされないよう事実を元に指摘。

 

⑩非主張の表現改善→書き出し言い慣れる練習、簡潔に短い文章で伝える練習、凛とした態度(背筋を伸ばし、アイコンタクト)の練習。

 

 

所感

人間関係全般に適用できる有用な考え方・方法・事例集が盛り込まれた良書。前著「アンガーマネジメント」は、怒りのコントロールとそれに伴った伝え方であったのに対し、本書はシーン全般における「伝え方の実践」に重きを置いた内容。まず「自分、相手ともに信頼し尊重する心持ちを持つ」という点に感銘を受けたとともに、読み進めるなかでこの考え方がアサーティブ・コミュニケーションの核であることを理解できた。対等な関係とは口で言うは易しだが、なかなか組織の序列がある以上、築くことは難しい。こちらが相手に意見を伝えようとテクニックを駆使したとしても、まったく話が通じない場合が多いことが現実であろう。しかしながらそういう辛い状況であっても、ゴールは相手をコントロールすることでも、丸くおさめることでもなく「アサーティブに伝えれたということ」に置く。この周囲に振り回されない確固たる軸を心に留めてはじめて、後半のテクニックや事例集が生きてくるのだと感じた。前著では物足らないと感じていた、リモート勤務における事例も盛り込まれており抜け目がない。本書に書いてあるとおり、肝心なことはアサーティブな対応は書き出し、練習してこそ身につくものであるため、一読しただけで身に着けた気にならずこれから何度も実践していくことが肝要だ。実際の対応で失敗したと感じるたびに、本書の事例集を読み返す繰り返しも必要であろう。

 

質問

なぜ「アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)」という聞きなれない言葉ではなく、簡潔に「バイアス(思い込み)としなかったのか。あるいは前著記載の「コアビリーフ」というバイアスと似通った言葉を用いなかった理由。コアビリーフ「~べき」のなかにある偏り、思い込みを発見するアプローチの方が前著と合わせて読んだときすんなり知識として入ってくるように感じたことから。