kokoro-zの日記

心のうちを曝け出す。

「働きながら発達障害と上手に付き合う方法」を聞いてみました

「働きながら発達障害と上手に付き合う方法」を聞いてみました

 

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2回

 

要約

発達障害を元にうつ症状をしめす主人公が、リワーク専門の心療内科に通うことで少しずつ自分への理解と対処法を獲得し、復職に繋げていくという物語。彼をとりまく妻の視点や、そのほか別ケースで悩むキャラクターが登場することで、製薬、精神科の実態や障害に対する理解をいっそう深めている。以下、ためになった知識をまとめる。

 

発達障害は病気ではなく脳の特性としてASD、ADHD、LDの三種類に分類され、それぞれの特性が程度の問題として扱われる。

発達障害の特性によって日常生活に支障をきたし、2次障害としてうつ等の精神疾患症状が出る。

発達障害の診断は問診、知能検査等から総合的に判断して行なわれる。

障害者雇用における企業のメリットは、「個人の能力を発揮できるような環境」という視点をもつことで、同時に「障害のない社員個々の活躍」にも目が向けられるようになること。

発達障害は治すものではなく共存するもの。癖の強い車に乗っているようなもので、仕組みや癖を学べば乗りこなせるようになる、という意識をもつ。

⑥二次障害(うつなどの精神変調)をコントロールするため、早寝早起き、夜更かし禁止、夜のスマホ禁止、毎日朝日を浴びる、食物繊維に発酵食品2種類以上、オメガ3脂肪酸摂取、息が上がる程度のウォーキングを日課にする。

発達障害気分障害ともに「セルフモニタリングの弱さ」が共通しているため、睡眠時間、脈拍、血圧、歩数を含めて記録し、タイマーで30分(あるいは15、60分)ごとに自分の状態を1日中チェックすることで「特性が出ている」ことに気付けるようになる。

⑧状況・気分を具体的に言語化、数値化し、心の中でどう、なぜそう思ったかを言葉にすることで「違う考え方」意識することができる。

 

⑨PTSD(トラウマ)治療法として、EDMR(眼球を速く動かす)、バタフライハグ(自ら抱きしめる)がある。

⑩ネガティブを共有し受け入れあえる関係(居場所)が孤独を解放し、前へ進む力となる。

⑪精神科はただ傾聴し薬を出す機関ではなく、症状の根っこを指摘し自覚を促しただす役割を持つべき

 

所感&質問込み

発達障害をテーマにした物語ではあるが、精神疾患全般の闇を余すことなく暴露している点に強い印象を抱いた。製薬メーカー側の儲け主義的な側面や、多くの精神科医にみられる薬さえ出していれば良いという怠慢を断じているところが清々しい。発達障害の概念が、懇切丁寧にストーリ仕立てで説明されているところも特筆べき点だ。私自身、発達障害の当事者である分、主人公の特性や症状はきわめて現実に則した内容であると確信を持てる。しかしながら粗が目立つのも確か。「西洋薬(抗うつ薬など)は根本治療にならない」とほとんど否定し、東洋薬(漢方)を推す姿勢はいかがなものか。神田橋処方に関して作用機序が明らかにされていないにも関わらず「漢方に副作用も依存性もない」などと医者が言い切ってはならない。数種類以上の漢方を試したことがある身として言えるのは、はっきりいって個人によって効きは違うし、合わない(副作用を感じるもの)もあったということ。物語上、一貫性を出すための策ではなく、診療経験に基づいて述べているのは重々承知だが、それにしても偏見に満ちている。西洋薬のメリットもしっかり提示した上で、漢方を推せば良いだけの話ではないだろうか。伝えたいことが正しく真摯なものだったとしても、一方のデメリットだけ提示するやり口は相手をコントロールする卑怯なやり口と捉えられてもしょうがない。せめて西洋薬の効用の注意書き一文さえあれば、著者の誠実性は保たれた。

 

実践